mew
街の灯りが一つ消えた夜に、みどりは空き缶を踏まないように歩いた。今夜だけは、音を立てたくなかった。
あの横丁の占い師のところで、「あなたが手放したものは、あなたのいない場所で生きています」と言われたのは、ちょうど五年前だった。
みどりはその言葉をずっと持ち続けた。大事にしすぎて、言葉の方がよれよれになった。
もっと早く、誰かに渡してしまえばよかった。言葉は持ち主がいない方が、遠くへ行けるのかもしれない。
了
二〇二六年六月十三日 発表
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